今週のゼミでは前回に引き続き『水滸傳』第30回を精読、武松が蒋門神をやっつけ快活林からの立ち退きを命令する場面を読みました。武松は蒋門神を口汚く罵ります。
“这斯
鸟蠢汉……
量你这个值得什的?”
下線部の“鸟”はdiao(第3声)と読み罵語です。《现代汉语词典》にもdiao(第3声)の読みで〈旧小说中用作骂人的话〉とあります。中国中央电视台制作の《水浒传》中では何故かすべてniao(第3声)と言っています。現代語では用いられないとしても、水滸ファンとしてはやはりdiao(第3声)で読んで欲しかったなぁ。
もう一つの下線部“量”は第2声に読み「文頭にあって話し手の相手に対する軽視もしくは自己についての謙遜を表す語」と高島俊男氏『「水滸伝」語彙辞典稿』にあります。ここでは当然「相手に対する軽視」の意味です。“鸟”についても高島氏の辞書に用例がたくさん載っています。
『「水滸伝」語彙辞典稿』は未完で A ~ Y までしかありません。あと Z だけだっただけにとても残念です。しかも学会誌や紀要等に何回にも分けて掲載されている上、手書き原稿を印刷した部分も多くあります。研究室には大学院時代に A ~ Y まですべてをコピーしまとめたものがあります。その解釈は今でも充分役に立ちますので、時間があるときにでも引いてみてください。
ところで、罵語“鸟”の解釈を「我孫子」在住の学生が担当したのは単なる偶然なのでしょうか?