小学館『中日辞典第2版』が電子化された。わたしの知る限りカシオの電子辞書と中国語入力ソフトChineseWriterの最新バージョンに搭載されたようだ。これで講談社と小学館の第2版がどちらも電子辞書で引けるようになる。便利である。だが,喜んでばかりいられない。
わたしは来年度より1・2年の演習科目で「電子辞書禁止令」を出すことにした。「軽便で検索に優れた電子辞書の優位性は動かしがたい」らしいが,電子辞書は使う人を選ぶ。電子辞書の『広辞苑』が便利なのは日本語が流暢に操れるからではないか? 中国語の「キャッチボール」を始めたばかりの学生に「人工芝のグラウンド」は不要である。語学の修得過程はスポーツのトレーニングに似たところがある。土のグラウンドでノックを受けて欲しい,いろいろなイレギュラー・バウンドに慣れて欲しい,中国語の「プロ」になったら「人工芝のグランド」で試合をすればよい。
4月の新入生オリエンテーションではっきり説明するつもりである,「中国語の上達を望むのであれば電子辞書を買わないでください。買ってしまった人は当分の間封印してください」と。
それにしても学生たちはどうしてあんなにお金を持っているのだろう? 3~5万もするものを平気で購入する,留学にも行く,留学先にはパソコンを持って行く…でも語学力は身に付かない。3~5万あるなら《新华字典》や《现代汉语词典》を部屋の飾りでもよいから買って欲しいものだ。最近では中国でもよい学習辞典が出版されている。3~5万もあれば何冊買えるだろう? でも学生たちはとたんに貧乏になる,「高すぎます,お金ないです」。そりゃ携帯に月1万も払っていたら金もなくなるだろう…。
とりあえず「禁止令」を出してみよう。だが,わたしの授業だけで禁止しても周囲に「出島」がたくさん出現したら意味がない,逆にわたしの授業が「出島」になってしまう。S先生だけでも「禁止令」に同調してくれるかな?