水滸のことば



カテゴリ:教学( 16 )


中国語を速く音読「速読」する

わたしが担当する語科教育法の授業では、入門段階での中国語発音指導を主なテーマとしている。今年度最初の授業で中国語を速く音読する「速読」の練習をした。この訓練方法は通訳者、翻訳者の長谷川正時氏の著書および妻が参加した日中学院春期集中講座における長谷川先生の速読法を参考にさせてもらった。

授業では、受講生(中国語学科3・4年生)にCCTVで放映された〈岩松看日本〉のナレーション原稿(250字)とそれを録音したテープを渡し、次週までに練習して1分間で読めるよう求めた。CCTVでニュースを読むアナウンサーの速度は1分間に300字前後なので、目標設定はやや緩めにした。

その結果、4名中3名が1回で目標をクリア、3名とも50秒前後でナレーター(速度はやや遅め)とほぼ同じ速度だった。残り1名も2回目で目標を達成した(あんなに緊張しなければ50秒は可能だ)。さすが専門学科3・4年次の学生、という結果に安堵した。また1名は2回目に40秒で読み、1分間300文字の壁を突破できそうだ。

学生が速読する中国語を聞いていて感じたことがある。この速度の中国語はけっして速くないどころか、かなりスムーズで聞きやすい(これは学生も同意見)、速く読もうという意識から声調や個々の発音が乱れるのではと心配したが、そんなことはなかった。きちんとした発音が身に付いてないとこのスピードでは読めないということなのだろうか。専門学科2年生でこの「速読」をやってみたらどうなるか、興味深い。

中国語を速く読むという発想は新鮮だった。教育法では、当然のことながらピンインの仕組みを理解し個々の発音をいかに教えるかということばかり教えてきた。「速く読む」より「正確に読む」が常に優先順位の上である。速く読むことと正確に読むことを対立するものとしてとらえていたのかもしれない。

速く読むのに慣れれば速い中国語に対する恐れがなくなる。この訓練は話す力を鍛えるだけでなく、聞く力を向上させるのにも役立ちそうだ。HSKの〈听力理解〉第三部分攻略のヒントにもなりそうだ。

長谷川正時氏の著書には中級者向けに『中国語短文会話800』(スリーエーネットワーク2004年2,800円)等がある。付属CDのスピードは教科書のCDばかり聞いている学習者には驚きだろう。一日15分、これを練習すれば中国語を速く話す口の筋肉が鍛えられそうだ。
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by clingmu | 2007-04-22 18:28 | 教学

電子辞書禁止令

小学館『中日辞典第2版』が電子化された。わたしの知る限りカシオの電子辞書と中国語入力ソフトChineseWriterの最新バージョンに搭載されたようだ。これで講談社と小学館の第2版がどちらも電子辞書で引けるようになる。便利である。だが,喜んでばかりいられない。

わたしは来年度より1・2年の演習科目で「電子辞書禁止令」を出すことにした。「軽便で検索に優れた電子辞書の優位性は動かしがたい」らしいが,電子辞書は使う人を選ぶ。電子辞書の『広辞苑』が便利なのは日本語が流暢に操れるからではないか? 中国語の「キャッチボール」を始めたばかりの学生に「人工芝のグラウンド」は不要である。語学の修得過程はスポーツのトレーニングに似たところがある。土のグラウンドでノックを受けて欲しい,いろいろなイレギュラー・バウンドに慣れて欲しい,中国語の「プロ」になったら「人工芝のグランド」で試合をすればよい。

4月の新入生オリエンテーションではっきり説明するつもりである,「中国語の上達を望むのであれば電子辞書を買わないでください。買ってしまった人は当分の間封印してください」と。

それにしても学生たちはどうしてあんなにお金を持っているのだろう? 3~5万もするものを平気で購入する,留学にも行く,留学先にはパソコンを持って行く…でも語学力は身に付かない。3~5万あるなら《新华字典》や《现代汉语词典》を部屋の飾りでもよいから買って欲しいものだ。最近では中国でもよい学習辞典が出版されている。3~5万もあれば何冊買えるだろう? でも学生たちはとたんに貧乏になる,「高すぎます,お金ないです」。そりゃ携帯に月1万も払っていたら金もなくなるだろう…。

とりあえず「禁止令」を出してみよう。だが,わたしの授業だけで禁止しても周囲に「出島」がたくさん出現したら意味がない,逆にわたしの授業が「出島」になってしまう。S先生だけでも「禁止令」に同調してくれるかな?
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by clingmu | 2007-03-08 20:05 | 教学

求む「4声+4声の地名」

先日も書いたがここ10日間ほどは1年生の教材作成に時間を費やしている。

声調の組合せ練習,「1声+1声……4声+4声」までの2音節を中国の地名で練習する。「4声+4声」の地名が見あたらない。一昔前の教材では〈大寨〉〈大庆〉などの地名が使われている。70年代ならよいのかもしれないが〈大寨〉はかなり古い,もっとも最近の農村重視の政策により復活する可能性はあるが…。工業都市として〈大庆〉の名は今もときどきニュースで耳にするが,日本人学習者にとって,〈绍兴、大连、上海〉ときて〈大庆〉では「役者不足」である。

日本の地名なら「栃木」「日立」などが思い浮かぶ,とくに「日立」は「r」と「l」およびそれに伴う「i」の発音を確認でき,理想的だ,使えないのが残念である。

「4声+4声」でどこかよい地名はないものか??
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by clingmu | 2007-02-22 22:50 | 教学

教材作成

先週で大学の仕事も一段落した。現在,新年度1年生用教材を見直している。

今年度から本学の中国人教師が編んだ教科書を使用しているが,その教科書に入る前の導入部「発音」は自分で作ったプリントを配布している。中国語の発音そしてピンインの綴り方規則に習熟しながら,中国語の初歩的な文法を学び,簡単な単文が言えるようにする,というコンセプトだ。

毎年改良を加えているのだが,なかなか満足するものにならない。声調・単母音ときてつぎは複母音に進むべきか,それとも子音を先にすべきか,に始まり,これに文法事項を加える。「動詞述語文」はどこで導入するか,“不”による否定は「変調」を学んでからになる,第3声連続や“不”の「変調」を習ったら「形容詞述語文」を導入し, “很冷”“不热”などの練習ができる,などなど考えるべき点は多い。

さらには発音練習にどんな単語を並べるか。無味乾燥になりがちなピンイン導入教育をできるだけ後の授業につなげたいと考えると,あれこれ教えすぎて学生は消化不良になりそうだ。なかなか悩みは尽きそうにない。
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by clingmu | 2007-02-12 21:48 | 教学

わたしはねるぞ!

今日は1年生のテストを採点。

中国語作文の問題
「彼は少し熱があるので,家で一日横になっていた」
につぎのような解答があった。

他有点儿发烧,所以我在家躺了一天。

??? 「彼」と「わたし」はどんな関係なんだろう? デートができずわたしはふて寝か? それとも「以心伝心」,苦しみを共に分かち合ったのだろうか? はたまた病気の彼は邪魔なのでわたしはごろごろしていたのかな? 採点の手をしばし休め,2人のストーリーを考えてしまった。
1題6点の設問,何点あげればよいだろう?
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by clingmu | 2007-01-31 21:05 | 教学

社会は病んでいる?

大学は今,試験期間中。土日に「検定中国語」(3・4年対象の演習科目)の採点をした。授業のねらいはリスニング力の強化。よって試験でも“听写”を5題出した。

“改革开放了,社会了,……”の“社会变了”を“社会病了”と書いた答案が複数あった。bìngと聞こえても文脈から推して“变”と書けないものか。“改革开放了”の部分ができているのに“社会病了”と書く学生もいた,こうなるともう確信犯か? いや,現代中国に向けられた鋭い批判の眼なのかもしれない。

さらに“要是坐飞机去的话,一千块钱不够,怎么也得三千。”の副詞“可”が聞き取れない。もっともこれはやや難しい。だが,“三千块钱够不够”とした答案多数,「千元で足りるのかな? どうあっても3千はかかるのだ」と自問自答してどうする? なんでも書けばよいというものではない,“可”をあえて書かない勇気が欲しかった。

試験の採点に迷答はつきもの。明後日は1年生の試験。どんな答案が待ち受けているやら。
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by clingmu | 2007-01-28 17:54 | 教学


水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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