水滸のことば



カテゴリ:教学( 16 )


「速読」の授業

2年生の授業「速読」はレベル⑤を終了、ちょうど教材の半分を読み終えたことになる、学生の半数近くがレベル⑤を突破した。

2年生の授業という点を配慮して速読の速度は1分間200文字というやや緩めに設定した。この速度をクリアできない学生は単に練習不足である。レベル⑤までの文字数は200文字以内の文章であり、読みの「持久力」をさほど必要としない。今のところ前日からの練習でもどうにか乗り切ることが可能だ。だがそれでも差はつく、読みを聴けば課外での練習量がすぐに分かる、

毎回しっかり練習し、課題をクリアすればその成功体験が自信になる、つぎの練習も苦痛でなくなる。その繰り返しによって語学の地道な訓練の習慣が自然と身に付く。そんな好循環を期待している。

来週はレベル⑥、開講時に設定した最低ノルマだ。そしてレベル⑦からは文字数も200に近くなる、本格的な中国語の「筋トレ」はいよいよこれからだ。
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by clingmu | 2008-05-17 19:57 | 教学

「そり舌音」の導入

ラジオ中国語講座は発音の第3週目が終了、今週の中心テーマは「そり舌音」〈zhi chi shi ri〉の習得だ。

ラジオ講座では「そり舌音」を〈ri shi zhi chi〉の順序で教えていた。理由はたぶんこうだ。「そり舌音」〈zhi chi shi ri〉に共通する音は〈ri〉、〈zhi chi shi〉を意識して長めに発音すれば ri の音が残る、よって「そり舌音」の基本は〈ri〉という考え方だ(ピンイン方案制定の際にも現行の〈zhi chi shi ri〉を〈zri cri sri ri〉とする案があった)。今回の講座では長年の教学経験からより効果的と判断してこの順序を選択したのだろう。繰り返しになるが、今回のラジオ講座はこのような「試み」が随所に見られとても興味深い。そして「ステップ12」では「そり舌音」と単母音〈e〉の組み合わせをじっくり練習する。「そり舌音」+単母音〈e〉の発音ができない君、「ステップ12」を聴いてしっかりトレーニングしよう。

私が今年度授業で「そり舌音」を教えるのは来週になる、〈ri shi zhi chi〉の新しい配列を試してみようと思う。
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by clingmu | 2008-04-20 17:20 | 教学

「アール化」について

入門期の発音指導で最後に教えることになるのが「アール化」だ。入門段階で「アール化」をどこまで教えるか?

共通語の音声は北京語音に基づく、そして共通語では日常的によく使用する語彙に「アール化」の現象が見られる。よって入門段階からきちんと「アール化」を教えるべきだ、という考え方がある一方、初級者にとって負担の大きい「アール化」習得に時間をかけず少しだけ触れてお茶を濁す、という考え方もある。

明日から始まるラジオ中国語講座『まいにち中国語』の4月はすべて発音(ピンイン)の習得に当てられている。そこでテキスト4月号で「アール化」の箇所を見ると、第19日は丸ごと「アール化」だ。テキストでは「アール化」を難度で4段階に分けている。

「難度1」最後の母音で舌を巻くもの:花儿、那儿、哪儿、画儿、活儿、歌儿、这儿、头儿
「難度2」最後の音を取って、その前の母音で舌を巻くもの:味儿、小孩儿、玩儿、一点儿、
「難度3」erをそえるもの:饺子皮儿、事儿、字儿
「難度4」鼻に息を通したあと、舌を巻くもの:空儿、电影儿

今年度ラジオ講座の本気度が「アール化」の解説からもよく分かる。ピンイン〈 i 〉の「アール化」を、複母音に現れる「難度2」と単母音にで現れる「難度3」に分けて解説している。

私の授業では「難度1」と「難度2」を中心に練習し、「難度4」は少し練習する程度で「難度3」に関しては必要なもの(例えば〈事儿〉)だけを「難度2」と一緒に取り上げるのみだった。中国語専攻の授業内容がラジオ講座に及ばないようでは申し訳ない、さっそく教材を微調整した。

明日からラジオ講座が始まる。大学では新学期が始まり、中国語専攻にも新入生がやってくる、新一年生には授業だけでなくぜひ今年度のラジオ講座も聴いてほしい。
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by clingmu | 2008-03-30 20:55 | 教学

来年度のゼミ(新3年生)

この時期4月から始まるゼミの準備をしている。来年度からゼミの進め方を少し変えるつもりだ。変更点は1学期に水滸傳の講読を行わないこと。

なぜか? ゼミの研究テーマは近代漢語語法研究、と言ってもそんなに範囲は広くない、多くの学生が水滸の語法にテーマを絞って卒業研究を執筆してきた。近代漢語の語法研究にはどうしても現代中国語の知識が大前提だ。現代語が読めなければ近代漢語の特徴も分からない。

そこで今年のゼミでは現代中国語のトレーニングを中心に授業を進めようと思っている。テーマは2つの「読む力」。一つは、中国語を声に出してリズムよく「読む力」の訓練だ、教材は2年生の「速読」教材を使い目標を高めに設定する。もう一つは、中国語を正確に解釈する「読む力」の向上だ。こちらは教材として昨年出版された《岩松看日本》(CCTVで放送されたものを昨年授業で一部使用した)を精読する。精読に際しては、辞書をじっくり読む習慣を身につけてもらう。

来年度の新ゼミ生は6名(1学期5名)、当初の予定より2名少ないのは残念だが、5名はじっくり勉強するのにちょうどよい人数だ。
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by clingmu | 2008-03-13 19:41 | 教学

進化するHSK

来年からHSKの試験方式が大きく変わるという情報は昨年末から聞いていた。先日、同僚のS先生から〈中国汉语水平考试改进版样卷〉なる本を渡され、モデル問題を見ることができた。S先生の意図としては、しっかり分析してGPテストに活かせ、ということだと思う。

新しい「中級」の問題を見た。核となる試験は〈听力理解〉(60題)と〈综合阅读〉(70題)からなり、130題を約130分で解く、受験生にかなりの負荷をかける試験スタイルは踏襲されている。さらにオプションとして〈口语〉と〈写作〉が加わった。すべてを受験するなら、受験生は最近流行の体力トレーニングでも導入して体を鍛える必要がありそうだ。

GPテストという視点でまず参考にすべきは中級の〈听力理解〉と〈综合阅读〉、〈综合阅读〉の分析はS先生に任せるとして、ここでは〈听力理解〉を一通り聞いた感想を述べたい。

当然のことだが従来の「初中等」より難しい。「初等」の部分がスッポリと抜け落ちた感じだ。具体的には独白に対する質問に答える問題形式が消えた。第一部分から対話形式20題となっている。対話なので話の内容は把握しやすいが、時に「人間力」を試されるような問題もあり、なかなか手強い。第二部分に従来の第三部分が入り20題、そして「新」第三部分はこれまでにない形式だ。かなり長い問題文が読まれ(2分程度)、質問が5題用意されている。各問すべて同一の選択肢A~Hから正答を選んでいくというもの。文章4題×設問5題、計20題、問題文はかなりのスピードで読まれる。

従来の初中等は対象範囲にかなりの幅があった。そのおかげで我が学科の学生が受験してもそれぞれの実力に見合った級がそれなりに認定された。だが4級が平均という専門学科の学生が、相当のリスニング力を求められる「新」中級に合格するのはかなり難しそうだ。現状では合格者10名程度か。そこでGPテストも微調整の必要がありそうだ。といった事情で…

明日(7/17)は「第1回GPテスト作成会議」の開催です。S先生、よろしく。
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by clingmu | 2007-07-16 16:58 | 教学

「速読」おまけ

先週の木曜日にも再再挑戦の学生が数名、研究室にやってきた。「平常点がなくなるよ。」と脅したのが功を奏し、日頃授業であまり顔を見ない学生もいた。もちろん、それでも来ない学生はいる。

前回も書いたが、声調の不安定さはやはり致命的だ。個々の発音も問題だ。短母音の「e」、ウムラウト、無気音と有気音、駄目押しに「そり舌音」…すべて1年生の1学期で習うことだ。自分の発音に危機感を覚えた学生もいたようだ。たまたま運良く2年生になっただけなのだから、もう一度初心に返って地味な発音練習から始めて欲しい。練習する気があるなら、わたしはいつでも付き合うつもりだ、そのためのOfficeHour(s)でしょ?

さて明日は1年生初めてのテスト。授業中あれだけ楽しそうに隣の人としゃべっているんだから、わたしのテストなんてきっと朝飯前だろう。平均70点前後なら採点も楽だろう。明日のテストが楽しみだ。
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by clingmu | 2007-06-11 18:28 | 教学

「速読」その後part-2

木曜日に「速読」の再テストを行った。その結果を踏まえ「速読」の効用について考えてみたい。

今回速読に挑戦した2年生は全部で59名、1回で合格したのは29名と約半数、残りの30名が今週再テストに臨み、30名中24名が合格した。

再挑戦した学生の読みを聞いていると、今回は音声教材を聞いて練習してきたようだ。1分間200字は2年生にとって充分達成可能なスピードだと感じた。以下、今回の試みで気づいた点を列挙する。

1.声調と語調(イントネーション)……今週合格した学生の多くは先週と比べ声調や語調の面で進歩が見られた。最低でも声調が安定しないと60秒の壁を突破するのが難しい。1箇所声調を間違えると、途端にリズムを失い、声調のミスが連発する現象が見られた。中国語学習400時間の学生にとって声調のミスは自覚できるはずだ、「間違えた」という意識が次のミスを誘発するようだ。ある学生が「声調や個々の発音はめちゃくちゃでもいいですか?」と前置きしてから読み始めた、結果は合格、発音はともかく、声調のミスはほとんどなかった。この結果からも分かるように、初級を学び終えた学生にとって声調を完全に無視して読むことはかえって難しいのだ。一方、語調についてはまだまだ練習不足だ。「,」や「。」以外の微妙な停頓、緩急などに気を配る余裕はないようだ。停頓や緩急にまで気をつけて読んだ学生は文に自然なリズムが生まれ、課題文をほぼ50秒前後で「ゆっくりと」読んでいた。この自然なリズムは初級用教科書付属のCDを聞いて練習しても身に付かないだろう。その意味で「速読」はとても効果的だ。

2.発音……母音や子音、有気音と無気音、そり舌音などの発音を矯正するという面で速読はそれほど効果的ではなかった。もともと発音のよい学生が速読でもきれいな発音で読んでいた。今回の課題文では「guo4qu4」や「ju4da4」のウムラルト、また「sha1che1」や「zhan4zheng1」などに現れるそり舌音や「a」「e」の連続などに学生は苦労したようだ。速く読むことが優先され、なりふり構わぬ普段着の自分が露呈した。このまま練習を続けると現在の発音が定着してしまうのではと心配になった。発音を直すには単語や音節レベルで集中して練習する必要がありそうだ。

3.目標の設定……2年生になると中国語を声に出して読ませる授業が少なくなる。中国人教員による会話の授業は別だが、講読の授業では本文の読みが気になっても止めて直している時間的な余裕がない、いや、止めていたらきりがない。声に出して本文を読むよう勧めても、目標設定がなくただ読むのは辛いだろう。今回200字60秒という明確な目標を設定したことにより学生は確かに読む練習を重ね、音声教材を幾度も聞いたようだ。また、60秒の要求をクリアした学生には達成感もあったと思う。その意味では学生も楽しんで(苦しんで?)練習できたのではないだろうか。

「速読」の効用は、声調の安定、中国語としての自然なリズムの習得といった点で効果的だと現時点では考えている。授業における導入の時期は初級段階を終えて中級に入った頃がよさそうだ、ただしピンインが正確に発音できることが速読導入の前提条件となる。ピンインを読む練習はやはり別にしっかりやる必要がありそうだ。そうすれば1分間200文字→250字→300字と徐々に負荷をかけていくことも可能だろう。

今回の試みによって2年生が中国語を声に出して読む大切さ、そして日頃の練習不足を感じてくれればと思う。学生には中国語を速く読む練習の教材として『入門からのシャドウイング 中国語短文会話360と基本文法』長谷川正時・長谷川曜子共著(星雲社2007年)を紹介した。2年生にとってはやさしいはずの短文ばかりかもしれないが、スピードについていくにはやや下のレベルから始めた方がよいと思う。1日5分でよいから練習して欲しいものだ。
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by clingmu | 2007-06-03 21:02 | 教学

「速読」その後part-1

4月22日のblogに書いた「中国語を速く読む=速読」を今回は中国語学科2年生の授業で試みた。2年生の中国語学習時間は1年次週6コマ30週、1コマ90分を中国風に2時間として計算すると約360時間+2年次週5コマ約5週(5月末まで)、約50時間で計400時間強である。大学の第2外国語(週2コマ)で3年分+αといったところだ。課題文は以下の通り。

渡边恒雄,《读卖新闻》总裁兼主笔,多少年来《读卖新闻》一直是日本民族保守势力的重镇。因此渡边恒雄也一直被认为是日本“鹰派”的代表人物。《读卖新闻》过去一贯支持参拜靖国神社,认为这是日本人自己的事情,其他国家无权干涉。但是,自从2005年6月开始,已近暮年的渡边恒雄却向保守思想踩下刹车。他的第一个动作就是亲自撰写社论批评小泉参拜靖国神社,而后,他下令报社开始为期一年的《明确战争责任》系列报道。《读卖新闻》的这种突然转变在新闻界和整个日本社会引起了巨大的振荡。
CCTV《东方时空》〈岩松看日本〉2007年3月26日放送

CCTVのアナウンサーは約200字の原稿を50秒で読んでいる、ニュースなどに比べてやや速度は遅い。わたしの2年生に対する要求は、この文章を60秒以内で読む、というもの。授業ではまず文字原稿を配り意味を確認した後、音声教材をわたし、次回の授業までに「速読」の練習をしてくるよう言った。また読む際には個々の発音より速度を重視するようあえて指示した。次回の授業で一人一人読んでもらい、60秒以内に読めれば合格、平常点として加点する。

課題文はわざと読みにくそうなものを選んだ。2年生が知らない語彙や中国語で読んだことのない固有名詞などが多い文章にした。内容は何でもよかった。「ナベツネ」に個人的感情はない、念のため。

1週間後その結果は……57名中28名が合格、合格した中でも50秒前後、即ちアナウンサーとほぼ同速で読んだ学生の発音がとてもよく、語調も自然で聞いていてスムーズに内容を理解できた。一方、60秒ギリギリで通過した学生の発音を聞いていて感じたことがある。速度的には50秒前後の学生よりむしろ速く感じる学生もいたが、語調にメリハリがない、そして苦手な発音や声調の狂いが足を引っ張っているように思えた。だが、「個々の発音より速度を重視するよう」指示した手前、合格は合格である。

今回の結果から指摘できるのは、50秒前後で読んだ学生の多くが1年生の頃からピンインをきちんと読めていたということだ。発音の基礎が固まっている学生は速読にも対応できるということか。興味深いのは今回合格しなかった学生たちである。次週までさらに練習を重ね再チャレンジするよう言ってあるので、この1週間速読の練習によって、彼らが60秒の速度をクリアし、さらには発音や語調までも向上するのか? はたまた個々の発音が不安定だと速読に対応するのが困難なのか? 次週の結果から改めて「速読」の効用について考えてみたい。

不合格だった2年生はちゃんと練習してきてくれるかな?
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by clingmu | 2007-05-27 20:57 | 教学

教育法の試み

ここ数年、わたしが担当する中国語科教育法では高校等での教育実習(実習は英語で行うことが多い)直前の4年生に中国語学科の授業を担当してもらっている。今年は2名、1年生の x-class と y-class をそれぞれ1コマ担当してもらった。

大学では近年、中国語の教員免許取得希望者には英語科または国語科の免許を合わせて取るよう指導しているようだ。確かに中国語の教員免許だけを頼りに中学または高校で常勤の職を得る可能性はほぼゼロに近い。だが、真剣に英語や国語の教員を目指すのであれば、中国語を専門で学ぶ余裕はない。だから高校等で中国語を教える常勤の教員は大学時代に中国語以外を専門とする人が圧倒的に多いはずだ。逆に、大学では「無免許」で中国語を教えることができ、わたしも免許を持っていない。結局、中国語学科の学生にとって中国語の教員免許は大学で免許取得のため多くの余分な(?)単位を取ったという証でしかない、というのが実情だ。

それでも毎年数名の履修者がいる。履修者に対して時に申し訳なく思うことがある。車の免許にたとえるなら、免許を与えながら一度も路上で運転することがないということだ。せめて「路上教習」の機会だけでもと教育法履修の4年生には中国語学科1年生に中国語を教える「実習」をしてもらっている。

授業で1年生に迷惑をかけるわけにはいかないし、変なことを教えられては担当教員としても困る。入念な準備が必要だ。3年2学期の教育法で中国語の発音指導について考え、その授業内容を踏まえて4年の教育法では、教案を作り模擬授業を数回実施する。今年はわたしの編んだ発音教材から「早口言葉」と「漢詩」を使った発音練習の授業をしてもらった。授業時間は高校等の授業に合わせて約50分、授業終了後、1年生にアンケートを実施した。

アンケートの結果によれば授業はおおむね好評で、これから実習に行く学生たちのよい励みになったようだ。これまで授業を受ける側だった学生が立場を変え、違う場所から眺めた教室の風景は学生たちの目にどう映ったのだろうか? きっと新しい発見があったはずだ。よい経験になってくれればと思う。少しは教員の苦労も感じてくれたかな?

1年生にとってもこの授業は新鮮だったらしく、普段より集中力が長もちしたように感じられた。とすれば、わたしの授業も大いに改善の余地がありそうだ。そんなことにも気づかせてくれる実習授業である。
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by clingmu | 2007-05-26 21:20 | 教学

「電子辞書禁止令」その後

今年度2年生の演習では老舎の散文〈养花〉を取り上げ「精読」、いや、紙辞書を引く練習をしている。授業には紙辞書必携(学生は入学時に小学館『中日辞典第2版』を購入)、辞書を引きながら意味の確認をしている。

これには理由がある。老舎の散文〈养花〉は学生必携の参考書に取り上げられている作品で、本文のピンインおよび注釈、さらには全訳までついていて、学習者は辞書を引かずとも読めるようになっている。そこでわたしの授業では、全訳および注釈の根拠を辞書で確認する作業をしている。授業でやるまでもないことかと思ったが、実際にやってみるとそうでもない。

〈养花〉に次のような一文がある。

还没成为养花专家,因为没有工夫作研究与试验。

下線部〈可〉や〈去〉の用法について質問し、辞書を引いて妥当と思われる説明を読んでもらう。辞書と付き合いの浅い学生は辞書の先頭項目に飛びつき、〈可〉は「できる」、〈去〉は「行く」となる。彼らにとって中国語と日本語の意味関係はつねに1対1の対応だ。この点で電子辞書は彼らの救世主なのかもしれない。余計な説明や用例は飛び込んでこない、その結果中国語は上達しない。授業では辞書の用例をできるだけ読んでもらうようにしている。

辞書を引くようになった学生は次の試練に立ち向かう。

在我的小院中,到夏天,满是花草,小猫儿们只好上房去玩耍……

『中日辞典』で〈上房〉を引くと「母屋」とある(《现代汉语词典》には〈正房〉)。そこで〈上房去〉の訳が「母屋に行く」となってしまう。では「学校に行く」は〈学校去〉ですか?と質問する。そこでやっと〈上〉に意識が向かう。辞書に振り回されてはいけない。何でも引けばよいというものではない。そこでまた辞書との付き合い方を説明することになる。

こんな授業だから、せっかく老舎の散文を読んでいるのに文学的な香りはまったくしない。高等教育機関で行う授業としては甚だ問題がある。多くの2年生もそう感じたのであろう、2学期に本学の授業を受けず留学を希望する学生がクラスの半数以上いるようだ。留学先ではぜひ大学生にふさわしい教養を身につける授業を受けてきて欲しい。まさか「初級クラス」の授業に出るなんてことはないよね?
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by clingmu | 2007-04-28 18:32 | 教学


水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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