水滸のことば



カテゴリ:書籍( 4 )


《現代漢語詞典》を読む

e0109427_2203985.jpg先日のブログで新学期ゼミの計画について書いた。少人数で講読を行う。講読では辞書をこまめに引き、辞書をじっくり読む。《现代汉语词典》を教科書に指定しようと思っている。学生にとって中中辞典はは敷居が高い、私も学生時代そうだった、だから授業で引き読んでもらう。

数年前、「中国人の頭の中を辞典にする」というコンセプトの辞典が日本で出版された。考えてみれば《现代汉语词典》こそ「中国人の頭の中」がもっともよく分かる辞典だ、よって日本語は載っていない。

《现代汉语词典》は中国語の語彙を増やすのに最適だ。〈改变〉を引く、動詞の語釈①に〈事物发生显著的差别〉とあり、用例に〈山区面貌大有改变〉と〈随着政治、经济关系的改变,人和人的关系也改变了〉を挙げる。〈改变〉の意味をさらに中国語で理解し、用例で確認する。さらに語釈②は〈改换;更动〉とそっけないが、〈改变〉の同義語を覚えることができるだけでなく、用例〈~样式〉〈~口气〉〈~计划〉〈~战略〉などにより、語と語の組み合わせを学ぶこともできる。

だが、《现汉》は万能ではない。〈核心〉を調べると、語釈に〈中心;主要部分(就事物之间的关系说)〉とあり、用例に〈领导~〉〈~小组〉〈~工事〉〈~作用〉が挙がっている。〈工事〉が日本語の「工事」でないのは新鮮だが、しっくりしない用例が多い、用例の選択にもう少し改革開放を求めたいところだ。《现汉》を引くとよくこのような経験をする。なにせ「中国人の頭の中」だから、異文化体験と思って諦めるしかない。

新学期にゼミ生は中国出版のただ堅い文字通りハードカバーの辞典を毎週持ってこなくてはならない。ちゃんと持ってきてくれるかな?
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by clingmu | 2008-03-20 22:02 | 書籍

《明容與堂刻水滸傳》(排印本)

e0109427_18121035.jpg《容與堂本水滸傳》(全二冊)上海古籍出版社1988年。この本は上海人民出版社影印本を底本とする排印本(活字本)である。縦組み繁体字、影印本の「眉批」なども小さめのポイントで再現されている。

影印本を忠実に活字化しようとはしているが、「里」「裏」「裡(示偏もある)」などはすべて「裏」に統一されている。これらの文字表記は言語の時代認定に関わるものであり、近代漢語を歴史的に研究するにはやはり影印本を使わなくてはならない。

排印本では容與堂本の缺けた文字や明らかな誤刻について内閣本や120回本などで校訂し、改めた箇所を丁寧に明示するよう配慮されている。ところが影印本の「相」を「像」に黙って直すなど過度の配慮もされているようだ。

研究に使用するには問題点を含むとはいえ、現在中国で出版されている排印本(100回)の中ではもっとも信頼に足る本であろう。ゼミではこの排印本を使って卒業研究の執筆を指導している。

なお、大島吉郎編『容與堂本「水滸伝」語彙索引』(近代漢語研究会1998年)はこの排印本をテキストに用いている。
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by clingmu | 2007-05-07 20:20 | 書籍

《明容與堂刻水滸傳》(影印本)

e0109427_10353385.jpge0109427_10345489.jpge0109427_1034790.jpg《明容與堂刻水滸傳》(全四冊) 上海人民出版社1975年。本学図書館でこの影印本と出会い「水滸のことば」について考えるようになった。

文字で書かれた資料を利用して近代漢語研究を行う以上、版本は重要な意味をもつ。『水滸傳』で最も古くかつ整った版本(文繁本)は容與堂本(100回本)になる。上海人民出版社本は所謂「北京本」に基づく影印本であり、1975年という出版年からして「水滸批判」のおかげ(?)で出版された書籍であろう。

1975年はまだ文革終結前、この本はあまり日本に入って来なかったようだ。大学院時代は図書館にこの本がなく、わざわざ国会図書館まで出かけて必要な箇所だけコピーしていた。20年前国会図書館のコピー代は確か1枚50円ほどかかった。貧乏な大学院生の身にこの出費は厳しかったなぁ、当時のことが懐かしく思い出される。

日本の内閣文庫にも容與堂本が存在し、こちらは現在、台湾で出版された影印本が手もとにある。
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by clingmu | 2007-05-04 10:39 | 書籍

角川『中国語大辞典』

e0109427_18215815.jpge0109427_18221644.jpgわたしが初めて関わった辞書が角川書店の『中国語大辞典』(全二册、1994年)であった。関わったと言っても大学院時代にカードの釈義を日本語に訳すアルバイトをしたに過ぎない。難産の辞書だったようで、その辺の事情は『香坂順一先生追悼記念論文集』(光生館2005年)に「思い出」として語られている。


『中国語大辞典』はやっと出版されたと思ったら、あっという間に中国に版権を売ってしまったらしく、《现代汉语辞海》上下册(北京大学出版社)として出版された。日本国内への輸入販売が契約上禁止されているらしいが、ネット等での購入は可能なようだ。角川書店には申し訳ないが、今思えばありがたい判断だった。でなければ、初回配本分が片付いたところで絶版となり、再販することもなかっただろうから。この《现代汉日辞海》は、『中国語大辞典』に比べて値段も安いし、紹介すると中国で買ってくる学生も現れる。

この辞書には旧白話の語彙が大量に収録されている。『水滸傳』からの用例も多い。丹念にこの辞書を引けば今年ゼミで講読する第30回の用例も見つかるはずだ。さらに詳しく調べると用例の誤り、引用回数のミス、用例訳の取り違いなどが発見できるだろう。

大修館の『中日大辞典』が物足りなくなったらこの辞書を引いてみよう。
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by clingmu | 2007-05-03 10:11 | 書籍


水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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