水滸のことば



カテゴリ:ひとりごと( 68 )


iPod来襲

昨日我が家に2台のiPod,「nano」と「shuffle」がやってきた。CD を何枚も入れて音楽を楽しもう,などと考えていたが,いつの間にか妻がiTunesからPodcastなるものをダウンロードしてきた。聞かせてもらって衝撃を受けた。これを使えば自然な国語の会話を何度でも繰り返し聞くことが可能だ,音質もよい。

自分が中国語の学習を始めた30年前を今更振り返ってもまったく意味がないが,それにしても……。

中国語の音声教材はカセットテープがあるだけ,あとはラジオの短波放送で「音のグラデーション」がかかった所謂「北京放送」を聞くくらいか。その後も長い間テープ時代は続いた。とくに中国で出版されたテープは品質の悪いものが多く,時にカセットレコーダーに入れ再生を押したと同時に寿命を迎えるものもあった。中国製のテープ教材は必ず最初に複製を作る習慣が身に付いた。最近では中国の教材でもCD付のものも見かけるが,このCDがまた曲者である。60分を過ぎるととたんに怪しくなる,音飛び,同じ箇所の繰り返しといった昔のレコードを彷彿とさせる「アナログ」的な代物だ。

大学生はかなりの人がiPodのような「秘密兵器」を携帯しているらしい。iPodの購入にはお金がかかるがインターネット環境さえあれば無料のPodcastも多くあるようだ。教科書や参考書のCDを入れてもよい。さらにはCCTVさえスカパー!に加入すれば月2千円程度で毎日テレビで中国語を聞くことができる。音は悪いが短波放送のようなことはない。

高いお金をかけて留学に行く必要はない。中国語の環境は日本で自分の周りに築くことができるのだ。さらに言えばPodcastで聞く中国語が聞き取れないのに,どうして現地の人の話す中国語を聞くことができようか。「語学的」にはかなり聞く力をつけてから留学に行った方がよいだろう。留学に行って異文化を体験し「人間力」を高める? いや,日本で人間力を磨いてから行かないと中国の人たちの迷惑になるだけだ。

それにしても羨ましい環境になったものだ。iPodによる「デジタル」の攻撃に今「電子辞書禁止令」が揺らいでいる。そうだ,今度は「留学禁止令」にしようかな。
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by clingmu | 2007-03-22 21:21 | ひとりごと

辞書編纂雑感

3月17日(土)明治大学で開かれた辞書に関するワークショップ『中国語辞書-これまでとこれから』に参加した。

4名のパネラーによる発表はいずれも興味深いものであった。とくに前半の2名は具体的な指摘で辞書を編むにあたりすぐに役立ちそうな内容だった。辞書編纂においては大きなフレームや辞書全体に流れる思想なども大事であるのはもちろんだが,辞書編纂にかかわったことのある者としては,どうしても「現場」が思い起こされる。

今回の発表者が辞書を書く時間に恵まれ,動詞と名詞の兼類,動詞と介詞の記述といった各人の関心事だけでもよい,すべての項目に目を通すのでなくともよい,現在ある辞書を見直すことができるなら,きっとより学習者にやさしい辞書ができると思う。そうやって辞書は少しずつ進化していくのだろう。

そうすれば……いくら暇そうに見えるからといって,わたしのような専門外の人に現代中国語辞書編纂の仕事が回ってくるようなことはなくなるはずだ。

辞書の仕事がイヤなわけではない(決して好きではないが)。作りたい辞書の方向性がまったく逆なのである。現代中国語の辞書ではわたしの専門とする近代漢語の語彙は削除の対象でしかない。近代漢語辞典や水滸辞典の電子辞書などできるわけがない。大修館の『中日大辞典』から白話の語彙がなくならないか心配だ。

近代漢語の辞書は望めないにしろ,せめて現代語の辞書がこの先10年出ないなんてことのないよう切に望む。
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by clingmu | 2007-03-20 21:46 | ひとりごと

卒業式と四十肩

昨日は卒業式があった。ここ数年,謝恩会で感極まる学生の数が増えているような気がする,昔はもっと淡々としていたように思う。いや,わたしが年を取り感受性が鈍っているだけかもしれない。

2月から左肩の痛みが気になり,今日病院で診てもらった。「四十肩とか五十肩とか言われるものです」とのこと。「四十肩」なら資格充分の47才,だが「五十肩」にはちと早い。複雑な思いだ。治療法はとくにないそうで,今後は年齢とうまく付きあう必要がありそうだ。

卒業式が終わると新入生がやってくる。また新しい一年が始まる。
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by clingmu | 2007-03-15 23:08 | ひとりごと

「紙辞書」の運命

小学館『中日辞典第2版』電子化の話は前回のblogに書いた。わたしはこの先10年は本格的な中日辞典「紙辞書」が出版されないのではないかと心配している。

何年も時間をかけて辞書を編纂し出版する仕事は出版社にとってかなりの負担になる。余裕のある出版社でないと許されないことだろう。出版して5年もしないうちに電子化されてしまえば,紙辞書は当然売れなくなる。中国社会の激変と相まって辞書の命はただでさえ短くなっている。

一方で,辞書の「書き手側」の事情もある。いったん辞書の仕事を始めると学期中は授業に,休みは辞書の仕事に忙殺される。少なくともこの状態が5年は続く。大学の教員は研究者としての能力が期待されている。業績として,大量の「紙」(論文)を執筆しなくてはならない。そして辞書は業績にならない。語学教師にとって辞書は大事な仕事だと思うが,大学で必要とされるのは研究者であって語学教師ではない。誰が辞書の仕事に専念しようか?

辞書の編纂は交響曲を完成させるのに似ている。常用語・書面語・口語表現・方言語彙・成語・慣用語といったさまざまな「楽器」を調和させ一つの「楽曲」に仕上げる。ブラームスは交響曲第1番を書き上げるのに20数年を要したという,もっともこれは19世紀のお話,21世紀の今日そんな時間的猶予は望めそうにない。だが,ブラームスの交響曲は100年以上経っても不滅である。

3月17日に日本中国語学会の拡大例会で中国語辞書に関するワークショップが催される。楽しみである。
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by clingmu | 2007-03-10 17:23 | ひとりごと

2つの「お知らせ」

大学で同じ学科に所属する若いS先生と喫茶店で打合せ&雑談。
「そろそろ3月入試の委嘱があるんじゃない?」
帰宅後,郵便受けに見慣れた緑色の封筒を発見,委嘱はわたしであった。余計な発言は慎むべきだった,深く反省している。

2つめの「お知らせ」。以前TECCを受験した妻の元へTECC「休止」の手紙が届いた。昨年も公開会場試験は行われていないが,今後は個別団体試験も含めて正式な「休止」が決定した模様。身近な学生の中にもTECCファンは確実に存在した,級別の受験でないところがよい,問題も良心的に思えた,残念だ。

「休止」といえば雑誌『中国語』も2004年3月号で「休止」したままだ。そういえば『中国語ジャーナル』年間購読継続の「お知らせ」が来ていない,こちらは大丈夫か?

中国語をめぐる市場はどうも縮小に向かっている気がする。中国ビジネス・中国株は活況? だが,ビジネスでの中国語は「ビジネス」の能力が前提,通訳に限れば現地で有能な日本語通訳をさがすのも可能だ。中国株の投資には「日本円」があればよい。中国語学科志願者の減少もある意味「時代の流れ」なのかもしれない。
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by clingmu | 2007-02-23 20:42 | ひとりごと

「以和為貴」?

春節も過ぎいよいよ春の訪れである。〈除夕〉には恒例の〈春节联欢晚会〉を楽しんだ…といっても〈相声〉などの「笑い」はそれなりに「笑える」ものとまったく「笑えない」ものに分かれる。この状態は何年経っても変わらない,残念だがどうにもならない。

今年の〈晚会〉で強調されたのがやはり〈和〉の字,2007年中国を代表する漢字は〈和〉に決定!という勢いだ。現在中国にはよほど「バランス」を欠いた社会が存在すると見える。

〈春节黄金周〉のCCTV〈新闻联播〉では連日,農村が取り上げられている。各地で〈“活”雷锋〉(〈相声〉でも笑いのネタになっていた)たちが大活躍のようだ,政府の農村政策のおかげで日に日に豊かになっているらしい,可哀想に…。もっとも報道といえば我が国のNHKも似たようなものか……。

今日,初詣に行ってきた。我が学科も〈和〉を重んじる気風が古くからある,ということは…。ともかく「科」内安全を祈るしかない。
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by clingmu | 2007-02-21 21:42 | ひとりごと

関所

昨日は学科の成績会議。1・2年生の進級がこの会議で決定する。

中国語学科現行制度では2年生の2学期から単位互換制度を利用した留学が始まる,留学すればそこは「天国」,留学受け入れ校で日本からの留学生は大切な「お客様」,「品質保証」をして送り出す本学の面子をとても重視してくださる。

そういった事情から,入学後すべての学生が例外なく通過すべき関門は,1年1・2学期と2年1学期の3つとなる,1年生にとって今回は2つめの関所,無事通過できたかな?

蛇足ながら,本学では安倍政権が提唱するはるか以前より「再チャレンジ」を推奨している。来年度も約10名ほどが1年生に「再チャレンジ」することになる。
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by clingmu | 2007-02-07 17:53 | ひとりごと

入試

今日は本学の入学試験。

かつては「幕張メッセ」会場なんて時代もあった。今では本学会場ですらまだ余裕がある。20年経って元の状態へ戻ったようだ。もっとも現在では10月~3月までに5、6種類ほどの入試がある。何人の教員がすべての入試を把握しているのだろう?

最近ではAO入試なるものが登場し,教科試験は一切なし。しかし筆記試験を免除され入学した学生に,わたしは中間だ,期末だと言ってテストを課している。これでは彼らに対する「裏切り行為」ではないか。AO中間やらAO期末など多様な試験を導入すべきか……

いや,とても対応できそうにない。
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by clingmu | 2007-02-04 20:57 | ひとりごと


水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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