新学期2年生用の速読教材に以下の表現がある。
但是中国出口日本的食品合格率达到99.42%,……
美国和欧洲出口到日本的食品合格率分别为99.69%和99.38%。
(CCTV《新闻联播》2007/07/23)
〈出口(輸出する)〉は離合詞で、〈口〉は名詞性成分だ。「日本に輸出する」を上掲スクリプトでは〈出口日本〉と〈出口到日本〉の2種類で表現している。
〈出口〉を《现代汉语词典》で調べると、②に〈本国或本地区的货物运出去;~货/~工业品〉とあるのみで、「~に輸出する」をどう表現するか、という疑問には答えてくれない。《现汉》は学習辞典ではないので諦めるとして日本出版の辞典はどうか?
小学館は《现汉》とほぼ同じ、動詞フレーズの例がない。講談社は用例として〈出口产品(輸出品)〉と〈这个国家每年出口大量的石油〉を挙げる、目的語は〈出口〉の後に置かれている。また『東方中国語辞典』の用例は〈出口大米(米を輸出する)〉と〈出口小麦(小麦を輸出する)〉の2例、いずれも動詞+目的語の形である。
離合詞〈出口〉の目的語は後置される、とすればその目的語を場所目的語に換えれば〈出口日本〉が可能となる、ということか? ちなみに《现汉》の離合詞〈留学〉には〈留学美国〉なる用例が採られている。
さて「~に輸出する」という表現は白水社『中国語辞典』でようやく見つけることができる。その用例は〈中国向国外出口了大批物资〉と介詞〈向〉を用いた表現になっている、〈出口到~〉は載っていないようだ。一方、白水社の用例は〈了〉が〈出口〉の後に付き、さらに目的語が後置されている。こうなると〈出口〉=離合詞、が怪しくなる。結局、離合詞専門の辞典を除いて、〈出口〉が離れる例は見つからない。これも離合詞の多様性か?