水滸のことば



ゼミ(7/17)

今回のゼミ終了後、学生からつぎの箇所について質問を受けました。

那叶孔目已知武松是个好汉,亦自有心周全他,已把那文案改得活着。只被这知府受了张都监贿赂嘱托,不肯从轻勘来。武松窃取人财,又不得死罪,因此互相延挨,只要牢里谋他性命。

引用文の句読は100回本(排印本)によるものです。問題の箇所は下線部、手もとにある人民文学出版社の70回本(活字本)では下線部を〈不肯从轻;勘来武松窃取人财,又不得死罪〉と切っていて、どうも「ゆれ」があるようです。因みに100回本を訳した岩波文庫ではこの部分を「軽い判決を承知しません。といって武松は、ただの窃盗ですから…」と、〈勘来〉の後ろで切った読み方を取っています。

70課本のように〈从轻〉で切る場合、〈从轻〉を「軽きに従う」つまり「軽い処分にする」と解釈し、〈勘来〉を「(武松の罪状を)吟味してみると~」として〈武松窃取人财〉以下に続ける解釈になります。

〈不肯从轻勘来,武松不得死罪〉だと〈勘来〉が浮き、一方〈不肯从轻,勘来武松不得死罪〉では〈从轻〉が落ち着かないことになります。

角川の『中国語大辞典』は〈勘来〉を語彙項目として取りあげ、「推測する」とし〈勘来武松窃取人财,又不得死罪〉「武松は人の財物を盗んだが、死罪にはならないだろう」を用例として挙げていますが、語釈の際、直前の〈从轻〉を考慮したのか甚だ疑問です。

結局のところ、高島氏も述べるように「決し難い所」なのでしょう。

たった一つの句読をむぐる問題で30分にも及ぶ議論になってしまいました。これもまた『水滸傳』講読の楽しみです。
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by clingmu | 2007-07-23 15:18 | ゼミ連絡
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水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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