水滸のことば



「速読」その後part-2

木曜日に「速読」の再テストを行った。その結果を踏まえ「速読」の効用について考えてみたい。

今回速読に挑戦した2年生は全部で59名、1回で合格したのは29名と約半数、残りの30名が今週再テストに臨み、30名中24名が合格した。

再挑戦した学生の読みを聞いていると、今回は音声教材を聞いて練習してきたようだ。1分間200字は2年生にとって充分達成可能なスピードだと感じた。以下、今回の試みで気づいた点を列挙する。

1.声調と語調(イントネーション)……今週合格した学生の多くは先週と比べ声調や語調の面で進歩が見られた。最低でも声調が安定しないと60秒の壁を突破するのが難しい。1箇所声調を間違えると、途端にリズムを失い、声調のミスが連発する現象が見られた。中国語学習400時間の学生にとって声調のミスは自覚できるはずだ、「間違えた」という意識が次のミスを誘発するようだ。ある学生が「声調や個々の発音はめちゃくちゃでもいいですか?」と前置きしてから読み始めた、結果は合格、発音はともかく、声調のミスはほとんどなかった。この結果からも分かるように、初級を学び終えた学生にとって声調を完全に無視して読むことはかえって難しいのだ。一方、語調についてはまだまだ練習不足だ。「,」や「。」以外の微妙な停頓、緩急などに気を配る余裕はないようだ。停頓や緩急にまで気をつけて読んだ学生は文に自然なリズムが生まれ、課題文をほぼ50秒前後で「ゆっくりと」読んでいた。この自然なリズムは初級用教科書付属のCDを聞いて練習しても身に付かないだろう。その意味で「速読」はとても効果的だ。

2.発音……母音や子音、有気音と無気音、そり舌音などの発音を矯正するという面で速読はそれほど効果的ではなかった。もともと発音のよい学生が速読でもきれいな発音で読んでいた。今回の課題文では「guo4qu4」や「ju4da4」のウムラルト、また「sha1che1」や「zhan4zheng1」などに現れるそり舌音や「a」「e」の連続などに学生は苦労したようだ。速く読むことが優先され、なりふり構わぬ普段着の自分が露呈した。このまま練習を続けると現在の発音が定着してしまうのではと心配になった。発音を直すには単語や音節レベルで集中して練習する必要がありそうだ。

3.目標の設定……2年生になると中国語を声に出して読ませる授業が少なくなる。中国人教員による会話の授業は別だが、講読の授業では本文の読みが気になっても止めて直している時間的な余裕がない、いや、止めていたらきりがない。声に出して本文を読むよう勧めても、目標設定がなくただ読むのは辛いだろう。今回200字60秒という明確な目標を設定したことにより学生は確かに読む練習を重ね、音声教材を幾度も聞いたようだ。また、60秒の要求をクリアした学生には達成感もあったと思う。その意味では学生も楽しんで(苦しんで?)練習できたのではないだろうか。

「速読」の効用は、声調の安定、中国語としての自然なリズムの習得といった点で効果的だと現時点では考えている。授業における導入の時期は初級段階を終えて中級に入った頃がよさそうだ、ただしピンインが正確に発音できることが速読導入の前提条件となる。ピンインを読む練習はやはり別にしっかりやる必要がありそうだ。そうすれば1分間200文字→250字→300字と徐々に負荷をかけていくことも可能だろう。

今回の試みによって2年生が中国語を声に出して読む大切さ、そして日頃の練習不足を感じてくれればと思う。学生には中国語を速く読む練習の教材として『入門からのシャドウイング 中国語短文会話360と基本文法』長谷川正時・長谷川曜子共著(星雲社2007年)を紹介した。2年生にとってはやさしいはずの短文ばかりかもしれないが、スピードについていくにはやや下のレベルから始めた方がよいと思う。1日5分でよいから練習して欲しいものだ。
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by clingmu | 2007-06-03 21:02 | 教学
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水滸伝の言語に興味を抱く、ある語学教師のぼやき。ときどきゼミ連絡。
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